第23回日本歯科医学会総会に参加いたしました 口腔外科専門医 インプラント専門医 山辺滋
第23回日本歯科医学会総会
メインテーマ 歯科医療 未来と夢
平成28年 2016年10月21日、22日、23日
福岡国際会議場 福岡サンパレス
シンポジウム9
インプラント治療とハード・ソフトティッシュマネージメント
インプラント周囲の骨や歯肉の状態をよくすること
インプラント治療には適応症の拡大、審美回復、長期の安定した予後の観点から多くの症例でインプラント周囲組織の環境整備、所以軟組織店骨の増勢が必要です。特にあごの骨の小さいアジア人にとっては、骨移植を応用することが多くあります。また厚い歯肉粘膜は骨組織の維持や審美回復に重要であります。欧米人に比べてアジア人は薄い歯肉を有する者の割合が低く、インプラント治療においては不利になりやすい傾向があります。
インプラント周囲への軟組織増生
インプラント修復治療において長期の予知性を考えるうえで、生物学的な観点からはインプラント周囲に構築した組織をいかに経年的に保存・維持できるか、また審美的な観点からは軟組織を含めた審美性の達成が求められ、治療のマネージメント上、軟組織量、形態をいかにコントロールするかが非常に重要です。歯周形成外科の手法を応用した軟組織増生について科学的根拠と診療について検証していった。
最小の外科的侵襲にて、生物学的、審美的にも満足しうる治療結果を達成しようとするとMIS (Minimally Invasive Surgery) が提唱されつつあります。すなわち、強拡大視
野で行う新しい手術術式により、患者の疼痛を軽減し、生物学的、かつ審美学的により有効な治療結果を獲得する試みです。
インプラント周囲の軟組織・骨移植におけるMISを詳述し、何症例に対する先鋭的な治療の実際を供覧しつつ、この意義について議論が深められた。
上顎臼歯欠損部インプラント治療において十分な骨量が得られない場合、頬側アプローチによる上顎洞底拳上術は確立された手術方法であります。しかし一方で、術後の腫脹や疼痛、感染といった偶発症の発生頻度が高いことが欠点となります。低侵襲に確実は剥離拳上が可能となる、超音波切削器具を用いた歯槽頂アプローチを紹介され、上顎洞底拳上術におけるイノベーションについて、症例を交えながら考察されました。
インプラント治療を受ける患者数は増加の一途をたどり、それに伴いインプラント周囲病も増加傾向にあります。インプラントは異物であることから上皮組織による被包化を受け、深いインプラント周囲溝を形成します。その結果として細菌バイオフィルムを形成することになります。感染の入り口はインプラント表面と軟組織の結合部分であり、これらをより強く結合させる技術革新が存在します。インプラントへの感染制御は今後の課題でもあり難題でもあります。