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2016年11月26日

先日行われた 「口腔ケア学会」の中にとても貴重なお話がありました。
長期、衛生士さんとして口腔ケアに携わっておられた方が講演されていたのですが、私たちにも今後口腔ケアに携わる者として、大変興味がもてた内容でしたので簡潔にご紹介します。
近年、誤嚥性肺炎は死因の第三位を占めています。
その予防である「口腔ケア」を行う上で最も重要であることは、口腔内の細菌を除去することです。
私たちは口腔ケアでは原因菌は歯垢(プラーク)の除去だと思いがちです。
実際に週に1度歯科衛生士による専門的口腔ケアを行うと口腔内の細菌数は減少するそうですが口腔ケアを行ったにも関わらず肺炎になります。口腔ケアが不十分なのか、何故なのかを疑問にもたれてあらゆる研究を行ったそうです。以下の様々な研究でその答えが導きだされます。
まず誤嚥性肺炎に関連する評価として、
①嚥下機能
②全身の抵抗力
③口腔内細菌量
その中でも唾液中に含まれる細菌量を減らすことが誤嚥性肺炎の予防になり、その結果「うがい」ができるかどうか。
これが一番、重要視されているそうです。

口腔ガンの手術には術後合併症、SSIを減少するために口腔ケアをしっかり行うのですが気管切開を行う患者さんの術前に口腔ケアをしっかり行ったのにも関わらず 挿管後には細菌数が増加...問題はプラークではなく口腔内貯留液や舌苔ではないかとわかりました。
そこで口腔内を「洗浄」することによって細菌数が大幅に減少しました。
しかし三時間後にはまた増えるという結果に。これでは三時間ごとの口腔ケアが必要になるため、次にあらゆる種類の薬剤を塗布し研究を行いました。
その結果、「テトラサイクリン軟膏」を舌に塗布すると六時間は細菌数が増えないことがわかったそうです。舌苔をオキシドール綿球で清掃することも良いそうです。

また常食の方は口腔衛生状態が良いと細菌数も少ないのですが、胃瘻の方は口腔衛生状態に関係なく細菌数が多いという結果に。

このことから誤嚥性肺炎の予防には歯垢ではなく唾液中の細菌数を大幅に減らすことが大切であることが理解できます。うがいができるか否かが求められます。
口腔疾患の予防には「ブラッシング」誤嚥性肺炎の予防には「うがい」が重要であることがわかりました。
誤嚥性肺炎の予防には更なる口腔ケアの確率が求められ今後の課題となりそうです。
エビデンスの確立はまだないそうですが、今後も様々な研究を続けていただき口腔ケアに携わる者にたくさんの情報をいただきたいと思います。
 文責:川添真奈美

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山辺歯科 院長 山辺滋
山辺歯科
http://www.yamabe-dc.com/
院長 山辺滋

【略歴】
1992年03月
長崎大学歯学部卒業
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1992年04月
長崎大学大学院歯学研究科博士課程入学(顎・顔面・口腔外科学専攻)
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1996年03月
長崎大学大学院歯学研究科博士課程終了博士(歯学)の学位授与
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1996年04月
長崎大学歯学部附属病院第一口腔外科および歯学部
口腔外科学講座で文部科学教官助手として10年間勤務
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2001年04月
長崎大学歯学部附属病院新設のインプラント科併任
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2001年10月
日本口腔外科学会認定口腔外科専門医を取得
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2002年04月
山辺歯科開業
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2005年04月
長崎大学歯学部臨床助教授、非常勤講師
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2007年04月
長崎大学歯学部臨床教授
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